更新日:2017年12月20日 (公開日:2015年08月24日)

日本では冬に猛威を振るう、インフルエンザウイルス感染症。インフルエンザを発症した場合、インフルエンザウイルスに対抗する、治療薬を飲む必要があります。この記事では、病院で処方される治療薬・リレンザの効果について、分かりやすく紹介します。

リレンザの治療効果と予防効果

「リレンザはインフルエンザに効果がある」という漠然とした情報だけでは、リレンザを治療薬として選択する動機にはなりません。

インフルエンザウイルスに対して、リレンザがどう効果的に働くのか?また、インフルエンザの治療薬として有名なタミフルとの違いや、リレンザがタミフルよりも優れているポイントも確認しておきましょう。

リレンザの服用により、1日半ほど回復が早まる

リレンザによるインフルエンザ治療は、ウイルスへの感染の兆候が見られてから、48時間以内に開始することが原則です。治療をはじめるタイミングをしっかり守ることで、高い効き目を発揮します。リレンザの効果は、くすりを何も服用せずに、体の免疫力だけでインフルエンザから回復した期間と比べるとあきらかです。リレンザを服用することにより、発熱、頭痛、筋肉痛、咳やのどの痛みなどの症状から、1.5日から3日ほど早く回復します。

ただし、インフルエンザによる症状からの早い回復は、指示された正しい服用を守った結果です。ウイルスへの感染から48時間以降にリレンザを服用した場合、同等の効果が得られないので注意しましょう。また以下で詳しく解説していきますが、治療に要する日数・期間は、リレンザとタミフルで大きな違いはありません。

効果があるのはインフルエンザA型とB型

リレンザはインフルエンザウイルスのA型やB型に対して効果を発揮します。C型に対してはあまり効果がありません。

インフルエンザ感染を予防する効果もある

リレンザはインフルエンザウイルス感染症からの予防用としても効果があり、インフルエンザのA型やB型の増殖や感染から予防してくれる効果があります。

リレンザは持ち運びもできる吸引型の薬剤なので、外出先でも服用が容易にできます。多くの人と接する可能性がある外出先での感染予防につながります。

5日分を使い切ることで最大限の効果が得られる

ウイルスに感染した場合は、用法・容量を守って服用することが大切です。リレンザは、5日続けて服用するくすりです。

熱が下がったからといって服用をやめてしまうと、身体の中に残っているインフルエンザウイルスが再び増殖し始めることがあります。その結果、再び高熱を発することがあります。熱が下がってからも最後まで飲みきることが、回復への近道です。

リレンザの効果があらわれるまでの時間やタミフルとの比較

リレンザの方がタミフルよりも優れている点、効果的に作用する点などを以下にまとめました。

リレンザの方がタミフルよりも効き始めが早い

リレンザは飲んで身体に吸収する薬ではなく、口から粉末を吸い込んで患部に直接作用させる薬です。

リレンザの効果や作用は、他のインフルエンザ治療薬と大きくは変わりません。しかし、メドピア株式会社が2014年におこなった調査データによれば、現場で実際にリレンザを処方する医師からは、「速効性」に対する高い評価の声が上がっていました。

リレンザを第一選択薬とした医師のアンケート
吸入から効果発現まで短時間で済む(50代、一般内科)
早期からの解熱効果はリレンザがベスト(50代、小児科)

インフルエンザ治療薬の第一選択では、タミフルを選ぶ医師が46.5%とトップです。これに対して、リレンザは8.7%と5分の1ほどですが、即効性に対する声が多数上がっていました。口から吸引することで、患部に直に成分が付着することが、影響しているようです。

患部に直接働きかけるからリレンザは早く効く

リレンザは本当に「早く効くインフルエンザ治療薬」なのでしょうか?リレンザの添付文書から、血液に薬の成分・ザナミビルが行き渡るまでの時間をみてみましょう。

ザナミビル(リレンザ)の血中濃度推移

リレンザの血中濃度推移

オセルタミビル(タミフル)の血中濃度推移

タミフルの血中濃度推移

インフルエンザ治療薬の代表格・タミフルと効き目の早さを比べてみました。成分の血中濃度が最大に達するまでの時間は、タミフルが4.14時間(約248分)だったのに対して、リレンザは1.67時間(約100分)でした。

リレンザには「成分が体内に吸収されるまでの時間が早い」メリットがあると言えそうです。

治療に要する総日数はタミフルと変わらない

インフルエンザに感染した15歳以上の成人患者を対象に、体温が37.0度未満に下がるまでの期間を調査したデータがあります。

それぞれにリレンザとオセルタミビル(タミフル)を処方した結果、解熱までにかかった日数は、リレンザもタミフルも2日間と変わりませんでした。また、主な症状(さむけ、発汗、頭痛、筋肉痛、関節痛、せきやのどの痛み)が軽くなった期間も同じく3日間でした。

リレンザのインタビューフォームからは、リレンザとタミフルの効果に有意な差は見られないと結論づけられています。

リレンザの解熱効果は?

リレンザと同じ吸入型の抗インフルエンザ薬・イナビルを比較したデータがあります。

リレンザの解熱効果

リレンザ服用による解熱までの時間(中央値)は37時間(吸引型のインフルエンザ治療薬のイナビルで36時間)でした。

リレンザの解熱効果・イナビルとの比較数値
リレンザの解熱効果・イナビルとの比較グラフ

またインフルエンザA型とB型に分けて、リレンザの解熱までの時間(中央値)を比較したところ、A型で36時間、B型で42時間(イナビル服用でA型で34時間、B型で47時間)でした。インフルエンザB型の方が解熱までの時間が長引くものの、リレンザとイナビルではほとんど違いはありません。

参考:Effect of a single inhalation of laninamivir octanoate in children with influenza. - PubMed - NCBI / Department of Pediatrics, Nantan General Hospital, Yagi-ueno 25, Yagi-cho, Nantan-city, Kyoto, 629-0197, Japan

熱が下がらないからといってリレンザと解熱剤を併用してしまうと、かえって症状が長引いてしまう可能性があります。安易な判断で他の薬を服用することは避けましょう。

リレンザのメリットは効き目の早さ

リレンザを利用する大きなメリットは、インフルエンザウイルスが増殖している気道に対し、薬の成分を直接届けることができる吸引型の治療薬ということです。胃で吸収する錠剤型よりも速効性が高く、吸入直後からウイルスに取り付いて効果を発揮します。

これに対するデメリットは、吸引型ならではの特殊な使い方です。付属の吸入器から噴出される粉末錠の成分を吸って服用するため、錠剤型と比べると利用のハードルが高いと言われています。使い慣れない子どもや気管が弱っている高齢者の治療では、そもそも選択肢から外されることすらあります。

しかし、「高熱やけん怠感、つらいせきやのどの症状に見舞われる時間を少しでも短くする」という目的でリレンザを第一選択肢とする、という判断も間違いではないでしょう。