更新日:2016年12月15日 (公開日:2015年08月24日)

タミフルは、感染力の強いインフルエンザウイルスに対して強い抵抗力と速効性を誇ります。強力な医薬品である反面、服用したときにはしばしば副作用が出る問題も指摘されています。

2005年頃には、タミフルを飲んだ未成年の異常行動が度々ニュースで取り上げられました。本当に怖いタミフルの副作用は、異常行動だけなのでしょうか?

タミフルの軽い副作用、重い副作用を知っておくことで、万が一の場合でも適切な処置が行えるようになりましょう。

タミフルの一般的な副作用

タミフルについては、従来からいくつかの副作用があることが知られており、一般には腹痛や下痢といった、消化器系統を中心とした症状になります。

副作用が出やすいのは消化器系

腹痛や下痢については、それほど重い副作用ではなく、通常の風邪薬などでも起こりやすいもののひとつですし、さらにはインフルエンザそのものの症状とも重複しています。以下がタミフルの医薬品インタビューフォームに記載された、副作用の概要です。

主な副作用 発生頻度
下痢 39件 (0.9%)
腹痛 32件 (0.7%)
吐き気 12件 (0.3%)
悪心 12件 (0.3%)
発疹 10件 (0.2%)

タミフルの販売元の中外製薬が、厚労省から製造・販売の認可を受けるまでに行った臨床試験(309例)と、タミフルが販売された後の調査(4211例)をあわせた4520例うち、副作用の報告があった175例の内訳です。

重篤な副作用

以下がタミフルの医薬品インタビューフォームに記載された、特に注意が必要な重大な副作用です。起きた回数(頻度)が分からないため、可能性は低いと言えます。しかし場合によっては命の危険に関わる副作用なので、少しでも症状がみられた場合は適切な処置が必要です。

  1. ショック、アナフィラキシー
  2. 肺炎
  3. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
  4. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
  5. 急性腎不全
  6. 白血球減少、血小板減少
  7. 精神・神経症状
  8. 出血性大腸炎

異常行動(精神・神経症状)

タミフル特有の重大な副作用のなかで、最も有名なものが異常行動(精神・神経症状)です。

タミフルを飲んだ後に異常な行動を起こした男性

タミフルを飲んだ子どもが窓から飛び降りるなどの異常行動を示した事例があったことから、副作用の一種として添付文書に後から追記されました。

タミフルを服用した後の異常行動について、厚生労働省と中外製薬株式会社は注意喚起を行っています。

一言で「異常行動」と言っても、症状は様々です。実際にはないものが見えたり、聞こえたりするといった「幻覚(幻視)」。幻覚が悪化して、実際にあるものと確信してしまい、他人がいくら説明しても説得できない「妄想」。幻覚や妄想によって混乱に陥った状態が「譫妄(せんもう)」です。

しかしインフルエンザウイルスそのものが原因となる熱性せん妄や、発熱や脱水症状などによって幻覚や幻聴が起きたり、それに伴う異常行動を示すといったことも、医療の現場ではよく知られていることです。

異常行動の報告例が多い幼児や未成年には必ず保護者が付き添い、万が一の場合には体を押さえつけたりできるよう、観察を怠らないようにしましょう。重篤な副作用に記載が追加されたとはいえ、異常行動そのものが命に関わることは少ないからです。

幼児や未成年の、万が一の事故を防止するための予防策
異常行動をおこす可能性があることを、親が認識しておく
自宅で療養する場合、少なくとも2日間は、幼児や未成年者がひとりにならないよう注意する

結局のところ、腹痛、下痢、さらには異常行動についても、タミフルの投与との因果関係がある副作用とは限りません。インフルエンザにかかったときにはいつでも起こりうることですので、常に備えておいたほうがよいということになります。

異常行動(精神・神経症状)の初期症状
顔や手足の筋肉がぴくつく
一時的にボーっとして意識が薄れる
手足の筋肉が硬直しガクガクと震える
異常行動(精神・神経症状)が発症する時間やタイミング
タミフルを飲んでから24時間以内
睡眠から目覚めた直後のタイミングが最多
初回から2回目の服用で発症する例が多い
幼児や未成年、10才前後の年齢が幼い患者に多い
異常行動(精神・神経症状)が発症したときの対応
突然走りだすことが多いため、高所からの転落や飛び降りに注意する

肺炎

頻度不明ながら肺炎も副作用のひとつとして認められています。

肺炎にかかったときの症状としては、38度以上の高熱、激しい咳、胸の痛みなどがありますが、これらはインフルエンザそのものの症状と区別がつかず、また他の細菌の感染が原因のものと、タミフルのような薬剤が原因のものとの区別も容易ではありません。

そのため、病院でレントゲンなどの検査を受けて、原因を明らかにした上で、適切な処置をしてもらうことが大切になります。

アナフィラキシーショック(ショック、アナフィラキシー)

年齢や性別を問わず、タミフルを服用するすべての患者に起こりうる重篤な副作用が、アナフィラキシーショックです。

タミフルを飲んだ後にアナフィラキシーショックを起こして息苦しく感じる男性

アナフィラキシーショックとは、体内の免疫が過剰反応する「アレルギー反応」の最も重いものです。呼吸困難や血圧低下などのショック症状を起こし、早期に対処しないと命の危険もあります。

最近ではタレントの叶美香さんが、大量の咳止めシロップを服用した結果、アナフィラキシーショックを発症。命に関わるほどの呼吸困難を起こし緊急入院したことが話題となりました。

通常タミフルの副作用は、眠気や吐き気など軽いものですが、もしも患者がタミフルに対するアレルギーを持っていた場合、薬に対して免疫が過剰反応してしまうことがあります。発生頻度は不明ですが、服用した人の肌に急に発疹・発赤が出て、ゼーゼーと苦しそうな息をし始めたり、顔色が蒼白になっていたりした場合は、アナフィラキシーショックによる呼吸困難や血圧低下を疑う必要があります。

アレルギー体質は容易にわからないこともあるため、些細な副作用でも医師・薬剤師に事前に伝えておくことが、自分の身を守るためにも重要です。

アナフィラキシーの初期症状
皮ふがかゆくなる、じんま疹が出る
声がかすれる、くしゃみが出る、のどがかゆくなる
息苦しさを感じる、どうき
意識の混濁
アナフィラキシーが発症する時間やタイミング
タミフルを飲んだ直後から30分以内
回数は不明、初回や2回目以降でも発症
アナフィラキシーが発症したときの対応
緊急の医療処置が必要となるため救急車を呼ぶ
もともとぜんそくやアレルギー性疾患の患者なら、所持している医薬品(発作を止める気管支拡張薬の吸入、抗アレルギー薬、ステロイド薬)を服用する

息苦しさや顔が青白い、意識がないなどのショック症状があらわれた場合には、緊急に医療処置を要請する必要があります。アナフィラキシーは緊急医療の対象となるので、ためらわずに救急車を呼びましょう。

アナフィラキシーは、外面的には症状が軽そうに見えることがあります。これは一時的なもので、状態は急激に悪化します。たとえ症状の発生から一定時間が経過していても、できるだけ速やかに医療機関に受診して下さい。